助成展覧会 2017春
2016年度助成対象者

アンキャッチャブル・ストーリー
2017年 6月11日(日) - 7月17日 (月・祝) ※火水木 休み・入場無料
Open 月・金|14:00 -20:00 土・日・祝|12:00 -18:00
展覧会公式 Facebook
https://www.facebook.com/uncatchable2017/
展覧会概要:
自分以外の「誰か」が同じ世界で生きている。そのことを、私たちはどのくらい精確に受け止めることができているのでしょうか。
近年、わかりやすい言葉によって編集された、誰かの「ストーリー」が、大勢の人々にとらえられ、裁かれ、無残な状態にされるようなことを数多く見かけるようになりました。キャッチーな言葉のあふれる現在、私たちは、本当は完全にわかることなどできない『誰か』のストーリーを、自分に「わかる」言葉でつかまえ、消費することを、無自覚に繰り返すようになっているのかもしれません。
このたび、3名の美術作家(牛島光太郎、田中秀介、阿児つばさ)による展覧会を、京都市北区の古民家・瑞雲庵(ずいうんあん)にて開催します。
牛島光太郎(うしじま・こうたろう/1978年・福岡県生まれ)は数年にわたって、路上に落ちている、過去に誰かの所有物であった、ボタンやキーホルダーなどの「モノ」を拾い集めてきました。牛島はそれらを丁寧に配置し、一見無関係な言葉と組み合わせることで、意味や機能から離れた、そのもの自体の存在を見出そうとします。
田中秀介(たなか・しゅうすけ/1986年・和歌山県生まれ)は、仕事に従事する人々や、光を浴びる建物の姿など、一見何の変哲もないながらも、どこか印象に残る場面を描いています。田中は、現在自らが「見ている」と思っているものが、一体どのようなもの・ことであるのかを、描くことで紐解きます。タイトルとして与えられた言葉は、さらに広がりのある情景を画面にもたらします。
阿児つばさ(あこ・つばさ/1991年・兵庫県生まれ)は、ふと出会った「わからない」言葉やイメージを出発点に、ドローイング、写真、旅やリサーチ、パフォーマンスと、さまざまな方法で思考を展開してきました。ものや人々を介して、徐々に『わからない』へと近づく阿児は、自身の作品を、ストーリーでも物語でもない、一寸先の未来に向けて発せられた「シナリオ」と位置づけます。
彼らは、過去・現在・未来における、「わからない」ものを扱いながらも、それらを簡単に「わかる」ものにしようとはしません。そのことは、わからない何かの輪郭をなぞりながらも、安易につかまえることなく、むしろどこまでも逃がそうとする試みのようでもあります。
発された言葉が、一瞬のうちに広まり、多くの人につかまえられてしまうような状況で、自覚できないほどたやすく、加害者や被害者になってしまうことがあります。それでも、言葉がなければ知り得なかったかもしれない「誰か」のことに、無関心にならず、その『つかまえられないストーリー』とともに生きるための態度やすべを、彼らの作品から見つけることができるのではないでしょうか。
武本彩子(本展企画)
主催|「アンキャッチャブル・ストーリー」展実行委員会
企画・キュレーション|武本彩子
助成|公益財団法人西枝財団、アーツサポート関西
協力|Gallery PARC
デザイン|三重野龍
メイン画像|田中秀介《いりいるうり》木製パネルにキャンバス・油彩(2017)
運営協力|平野成悟
お問合せ|本展実行委員会
E-mail:uncatchable2017@gmail.com
TEL&FAX:075-231-0706(Gallery PARC)
関連プログラム






オープニング ギャラリートーク&レセプション
日時:6月11日 (日) 17:00~18:30
*トーク終了後、18:30頃よりレセプション・パーティを行います。
キュレーターによるギャラリートーク
日時:6月17日 (土) 15:00~16:00
本展企画者による作品・展覧会解説。
ゲストトーク:牛島光太郎と福永信と歩く、「みちのはなし」ツアー
日時:7 月 2日(日)15:00 ~17:30
牛島光太郎(出展作家)とゲスト・福永信(小説家)が、地下鉄「北山」駅から出発し、瑞雲庵までの道すがら(徒歩約25 分)と、瑞雲庵到着後に話をします。
1. そぞろ歩き編 15:00 ~ (会場:地下鉄「北山」駅 ~ 瑞雲庵の道中)
2. 瑞雲庵編 16:00頃 ~( 会場:瑞雲庵)
※ 1. そぞろ歩き編 に参加の方は15:00 に地下鉄「北山」駅 ③番出口にお集まりください
ゲスト:福永 信(ふくなが しん)
1972年生まれ。小説家。
著書に、『アクロバット前夜』(2001/新装版『アクロバット前夜90°』2009)、『あっぷあっぷ』(2004/共著)『コップとコッペパンとペン』(2007)、『星座から見た地球』(2010)、『一一一一一』(2011)、『こんにちは美術』(2012/編著)、『三姉妹とその友達』(2013)、『星座と文学』(2014)、『小説の家』(2016/編集)。
パフォーマンス:阿児つばさ「Day Scenario」
日時:7 月 7日(金)、14日(金)、17日(月・祝)17:00 頃~
ワークショップ:平凡を見つめて描く」講師:田中秀介
日時:7月 9日(日)14:00 ~17:00
おもにアクリル画材を使って絵を描きます。子どもから大人まで、どなたでも参加できます。
参加費:300 円(材料費)
対象:小学生以上
・参加希望の方は、事前に電話/メールなどで本展実行委員会までお申込ください(定員10 名・先着順)
本展実行委員会| E-mail:uncatchable2017@gmail.com TEL&FAX:075-231-0706(Gallery PARC)
・汚れてもよい服装でお越しください
クロージング:アーティスト・トーク
出展作家・企画者による座談会。
日時:7 月 17日(月・祝)14:00 ~16:00
※特に記載のないものは参加無料・事前申込不要
※スケジュールや内容は変更する場合があります。最新情報は本展公式Facebookでご確認ください。












キュレーター
Ayako Takemoto / 武本彩子(キュレーター / アートコーディネーター)
1988年岡山県生まれ。京都芸術センターアートコーディネーター(2013〜2016)。同館での主な展覧会企画に『ハイパートニック・エイジ』(2015)、『NEW HOME』(2014)、主なコーディネートに、『アン・リスレゴー:Shadow Ya Ya』(2015)、『小谷元彦:Terminal Moment』(2014)。2016年よりGallery PARC(京都)スタッフ。
アーティスト

《届かなかった光の範囲》廃校となった体育館(福岡)(2016)
Koutarou Ushijima / 牛島光太郎
1978年福岡県生まれ。関西の美術大学を卒業。言葉を含んだインスタレーションを用いて物語を生み出す作品を制作。近年の主な個展に『不完全な物語』(ギャラリーおいし、福岡、2016)、『scene のつくりかた』(Gallery PARC、京都、2014)、『意図的な偶然』(LIXILギャラリー、東京、2012)、『意図的な偶然』(三菱地所アルティアム、福岡、2010)、近年の主なグループ展に『感性の生まれいづるところ』(九州芸文館、福岡、2017)、『明日への坩堝』(福岡アジア美術館、2015)、『イマジネーション・スーパーハイウェイ』(京都芸術センター、2014)他。その他、「里山を編む」(九州大学ソーシャルアートラボ、2016)「HUB-IBARAKI ART」(大阪府茨木市、2016)等、アートプロジェクトへの参加やデパートや空港など公共空間への作品設置等、幅広く活動を展開。

個展『ふて寝に晴天、平常の炸裂。』(Gallery PARC、京都、2017)展示風景
Shusuke Tanaka / 田中秀介
1986年和歌山県生まれ。2007年大阪芸術大学附属大阪美術専門学校美術
工芸学科絵画専攻卒業。2009年大阪芸術大学美術学科油画コース卒業。近年の主な個展に、『ふて寝に晴天、平常の炸裂。』(Gallery PARC、京都、2017)、【ALLNIGHT HAPS 2016】『こないだのここからあそこ』(HAPS、京都、2016)、『円転の節』(トーキョーワンダーサイト渋谷[東京]/ギャルリ・サンク[奈良]、2016)、『私はここにいて、あなたは何処かにいます。』(Gallery PARC、京都、2015)、『回想と突発のわれわれ』(gallery morning、京都、2013)他。近年の主なグループ展に『liquid section』(2kw gallery、大阪、2015)『CONSTELLATION 2014-星座的布置展-』(上野の森美術館、東京、2014)他。

《花路里》Division、京都
(2016)
Tsubasa Ako/ 阿児 つばさ
1991 年神戸市生まれ。2014年京都精華大学卒業。社会に存在するシナリオの可視化、それらを包括した造形物を制作する。個展に『花路里と花路里 / PEGASUS /ど こ や こ こ』(3331アーツ千代田、東京、2 0 1 6 )、『花路里』(Division、京都、2016)、『大事な本- the nomnom Books-』(momurag、京都、2015)、『知らない間』(kara-S、京都、2013)、グループ展に『北の脈々- North Line 2』(札幌大通地下ギャラリー500m美術館、北海道、2017)、またぽこぽこガールとして、『ぽこぽこアワー』(アートエリアB 1 [大阪] 、DANCE BOX [神戸] 、Division [京都]、2015)等にも出演。